ToMoLog’s blog

海外大学院について、ストックホルム大学院についてのあれやこれやをつづっていきます。皆さんの海外留学・スウェーデン留学のお供となれるようなブログを目指しています。

ついにノルウェーが学費無償じゃなくなった!

 

4月ごろから騒がれていますが、

ついにこの日がきたか、、、という感じですね。

いつかそうなるだろうな、という感じだったので、
「ついに来たか、、、」という気持ちと、
どこかで「(北欧の中で)ノルウェーだけはずっと私たちの期待にこたえ続けてくれてくれるのではないか、、、」と思っていた故にめっちゃショックな感情とが混ざり合った気分ですね。

 

もう皆さん大体お察しかと思いますが、私が何を話しているかというと、

下記ページのニュースについてです。

 

thenorwayguide.com

 

 ニュースにあるとおり、北欧の中で唯一EU圏外の留学生でも学費が無償だったノルウェーが、今年ついに学費を導入することになりました。
(※他の北欧の国と同じく、EUからの留学生、つまりシェンゲン協定を結んでいる国からの留学生は引き続き学費無償になります。)


どうやら2023年に入学する人から適用されるようで、、、、
今年の4月にノルウェーの大学から合格通知が来たという方、

本当に辛すぎませんかこれ!?

 ノルウェーで勉強していたわけでもない私がめちゃめちゃショックを受けいているので、
ノルウェーで勉強したいと思っていた方なんてもっとショックなんじゃないかなと思うんです。

 

実際の学費はいかほど

 

試しに、いったいどれくらいかかるのかですが、
こちらの記事によれば、オスロ大学に入学したい場合、2023年に入学する場合は次のとおりです。

 

〇人文・社会学学部系、経済学系、政治学系の学士:1年間でNOK130,000

(→2023年5月時点で約168万円)

 

〇法学部・自然科学系(おそらく学士):1年間でNOK160,000

(→2023年5月時点で約206万円)

 

〇人文・社会学学部系、教育学部系の修士:1年間でNOK180,000

(→2023年5月時点で約231万円)

 

〇自然科学系、科学技術系(工学系)の修士:1年間でNOK260,000

(→2023年5月時点で約334万円)

 

文系の修士1年間で231万、、、、ばか高くね!?え、私勘違いしていますかね!?


ちなみに、これを機に他の北欧の学費はどれくらいなのかなと比較してみました↓↓
(2023年5月現在の通貨で換算。文系修士で今回は比較してみています。)

 

アイスランドレイキャビク大学の場合):ISK1848,000(約187万円)×2年

 

ノルウェーオスロ大学の場合):年間NOK180,000(約231万円)×2年

 

スウェーデンストックホルム大学の場合):年間SEK90,000(約117万円)×2年

 

フィンランド(アールト大学の場合):年間EUR15,000(約226万円)×2年

 

デンマークオーフス大学の場合):年間EUR8,000 (約120万円)×2年
 ※大学ウェブサイトでユーロ換算ででてきたのでユーロで表示しています。

 

こうやってみると、ノルウェーフィンランドめちゃ高いですね!
スウェーデンデンマークの年間の学費は他の北欧に比べると大分優しい気がします。
もっとも、日本の国立大学は、年間授業料が平均約53万円らしいので、それに比べると2倍くらいの値段はしますが...。

もちろん、大学によって学費は異なると思いますので、ご自身の行きたい大学の学費も要チェックです!


ノルウェーが学費無償でなくなった経緯

 

ノルウェーが学費無償でなくなった経緯ですが、こちらの記事によれば、
どうやら、2022年の10月ごろからノルウェー政府のなかで話が出ていたようです。


「(ドイツのいくつかの州以外は)EUのどこの国もEU圏外の学生には学費を払ってもらっている。ノルウェーもそろそろ全ての人に学費無償を提供しなくてもいいのでは?」的な話が出ていたようです。

ウクライナからの学生や、難民として受け入れた学生には学費を請求しなくてもいいという話にはなっているようですが、
当たり前ですが日本からの学生は例外には入りません。

さらに、こちらの記事では、2022年12月に政府が大学への補助金の予算額を大幅にカットする方針を打ち出していたようです。これは暗に「各々の大学で、自分たちでお金なんとかしてね~」ということを意味していますよね。


政府からの予算大幅カットにより、今までできていた大学の運営が全然できなくなる!お金が足りない!と困った大学側が、今回EU圏外からの学生の学費無償撤廃の選択をせざる終えなかった、そういった背景が今回の学費制度の導入に関係しているようです。

 

しかしながら、特にこれといった明確な根拠もないままに打ち出されたこの方針は、

大学関係者にはあまりいい印象を与えていなかったようです。

上の記事の中でも、次のような文章が書かれてありました。

Jørgen Melve, a senior executive officer in the faculty of social sciences and the head of the Norwegian Civil Service Union (NTL) at the University of Bergen and member of the academic board, criticised the Ministry of Education and Research, particularly the sector minister Ola Borten Moe, for making decisions without proper assessment.


Melve said that it is rare for a ministry to make such poorly founded decisions, adding that the ministry does not have a clear idea of how many students will be affected by the new tuition fees and how much a study place will cost.

 

訳(少し意訳しています):

ベルゲン大学の社会科学部の上級執行役員ノルウェー公務員組合(NTL)の代表、学術委員会のメンバーであるJørgen Melve氏は、教育研究省、特にOla Borten Moe部門大臣が適切な評価なしに決定していると批判しています。


Jørgen Melve氏は、このような根拠の乏しい決定をする省庁は珍しいとし、さらに、学費制度を導入することによってどれだけの学生が影響を受けるのか、また、留学先がいくらかかるのかについて、教育研究省はまるで分っていない、と述べています。

 

記事のタイトルにあるとおり、政府の方針によって大学側も翻弄され、学費を導入する以外他に手段がなかったようですね。

詳細については、下記の記事をご確認ください。

 

sh.januzi. (2023, March 24). Norway Introduces Tuition Fees for International Students. SchengenVisaInfo.Com. Retrieved 27 May 2023, from https://www.schengenvisainfo.com/news/norway-introduces-tuition-fees-for-international-students/
 

 

Jan Petter Myklebust. (21 March 2023) Universities struggle to implement new tuition fee ruling. (n.d.). University World News. Retrieved 27 May 2023, from https://www.universityworldnews.com/post.php?story=2023032113073988
 

 

 

これからもずっとこのままなのか?

おそらく皆さんもご存じのとおり、昔は北欧圏は例外なく学費が無償でした。

 

しかし、アイスランドは2000年代初期から、デンマークは2006年から、フィンランドは2010年頃から、そしてスウェーデンは2011年から、EU圏外の学生であれば一定額の学費を払わなければならなくなりました。

 

以降、どの国も制度を変更しておらず、学費無償に戻っていないことから、
おそらくノルウェーも学費が再び無償になることは現実的にはないのかなと思います。

 

また、下記ページの記事によると、


今回の学費の改変は、ノルウェー政府の中のthe Norwegian Labor party (Arbeiderpartiet)という政党によって決められたものであり、the Norwegian Labor party自体がノルウェーの政府の中でかなり左派であることから、それよりも右派である党が反対することはまずないだろう、と見解されています。

 

 The Norwegian Labor partyよりもさらに左派な党というと、Socialist Left Party (Sosialistisk Venstreparti)やthe Red party (Rødt)がありますが、Socialist Left Party (Sosialistisk Venstreparti)でさえも賛成しており、

唯一この方針に反対する可能性のある党とすればthe Red party (Rødt)になりますが、ノルウェーの中でかなり小さな政党であるため、方針が覆る可能性はかなり低いだろう、とのことです。

 

thenorwayguide.com

 

何か他に手段はあるのか

学費無償でノルウェーの大学に行く方法は他にないのか、色々と検索してみましたが、

「2年間ノルウェーで働いて市民権を手に入れる」

ノルウェーの人と結婚する」

などの方法しか出てこず、なんだか私の知りたい答えはありませんでした(笑)

しかしながら、紹介した記事も書かれているとおり、学費を払わなければならない私たちのようなEU圏外の学生も、

大学が独自で設けている奨学金などをゲットできれば、生活費や学費の補助が受けられる可能性があるようです。

 

なので、学費無償で無くなってもやはりノルウェーの大学に行きたい!という気持ちがある方は、自分が応募できそうな奨学金が大学にないか、調べてみるのもいいかもしれませんね!

 

もちろん、日本の奨学金を応募するという手もあります。
奨学金については、以前こちらの記事で書いておりますので、
よろしければ参考になさってみて下さい~!

www.tomolog-studyabroadinfo.com

 

まとめ

 

今回はちょっとしたコラムの気持ちで書いたので、そんなにまとめることはないですが、
やはり個人的にはショックなニュースでした。

あと、普通に学費高いので、生活費も北欧の中でダントツで高い(と個人的に思っている)ノルウェーで、学費もかなり払わなければならないとなると、

少しだけ魅力は半減してしまいそうな予感がするのは私だけでしょうか、、、
お金がある人と、奨学金が確約されている人しか行けなさそう。。。。

もう少し段階的に学費を引き上げるとかしてもよかったのでは?と思うくらいの金額なのですが、
それもこれも、政府の方針がそうだから、大学がどうにかできたわけでもないんですよね、、、。

世知辛い世の中だな~資本主義な世の中だな~と思ったり(それでも北欧は日本より断然社会主義的だけど)、仕方ないか~と思ったり、複雑な心境の筆者でした。

 

ご覧いただきありがとうございました!

 

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